一日目

2/6
前へ
/43ページ
次へ
「こら待て逃げんな!!」 ちょこまかと逃げ回る『標的』を追い、今日もあたしは走る。 塀の上、屋根の上、ビルの上。 上空へ、上空へと『標的』を追い詰め、銭湯と書いてある煙突の梯子に手足をかける。 生きている人間にあたしが見えたなら、きっと誰もが腰を抜かしているだろうと思う。 まぁ、誰にも見えてないからこそこんな風に自由に走り回れるわけで。 「よし!そこから動くなっ!」 銭湯の煙突のてっぺんに登り詰め『標的』目掛けて刃を振り回す。 黒くモヤモヤしていた『標的』が、「ぎゃー」と「わー」の中間みたいな叫びを上げながら真っ二つに裂ける。 中から現れた『標的だったもののタマシイ』を専用のボトルに吸い込んで本日の任務は完了。 持田サクラ。職業、死神。 『天国門通行許可手続きセンター』所属。 死んだ人間のタマシイは皆、ここを通って天国へ行く。 image=442620782.jpg
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加