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「ふぅ」
煙突に腰掛けてあたりの様子を確認する。真っ直ぐ前の厚ぼったい雲が真っ二つにちぎれ、割れている。
あたしが、刃を振り回したせいだ。
「オーケー。被害最小っ」
勢いが要る『標的』を斬るにはやはり上空に限る。逃げ回る『標的』に向かって地上で刃を振り回したらビル群が雪崩を起こしてしまうだろう。
「結構走ったなー……。どこだここ?トーキョーの下町?ってとこか?」
煙突に腰掛けたまま空を見上げ、迎えを待つ。仙人のじいさんの金斗雲に乗らなければ天界へ帰れないのだ。
「じじい早くしろよー……。せっかく早く片付けたのに意味無いじゃねーか」
割れた雲の隙間あたりに目を凝らすあたしの意表を突いて、背後から遠慮気味に声が掛かった。
「サクラさ~ん……迎えに来ましたー……」
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