パートナー

2/5
350人が本棚に入れています
本棚に追加
/374ページ
私と同じ魔法使いで占い師のルカに魔法石(まほうせき)を届けに来たのだが、問題が発生した。 配達時間が、もう一時間も遅れてしまっているのだ。 ……扉を開けるのが恐い。 だって怒っているかもしれない。 でも、これ以上遅れたらもっと恐いし。 うーん、入るべきか入らないべきか。 悩んでいたら、扉がキィと音をたてて開いた。 そして出てきたのはルカ。 「あら、リラじゃない。こんにちは」 「こ、こんにちは……あの、ルカ」 「あら、どうしたの?顔色悪いわよ」 「……あの、配達時間がかなり遅くなってごめんなさい!!」 勢いよく頭を下げて謝る。 もう、謝って謝って謝り倒すしかない。 するとルカの方から、楽しそうに笑う声が聞こえてきた。 「リラ、配達日は今日じゃないわよ」 「へ?でも、あれ?」 慌てて紙に書いてある日付を見ると、確かに今日ではない。 「リラっておっちょこちょいね」 「あはは、やってしまった。でも、よかったぁ」 遅れるよりはたぶんいいはず。 「ふふ、この配達物はもらってもいいのかしら?」 「あ、うん。サイン頂戴」 伝票に名前を書いてもらったのでルカへの配達は終了。 「でも驚きね。リラが配達してるなんて」 ルカのその言葉に体がビクリと跳ねた。 「いや、あはは…」 「もしかして、また?」 「……その通り。また、です」 「今回の理由は?」 「いつもと同じ。私のところじゃ勉強にならないからって」 「あらあら。どうして貴女のパートナーはそんなことを言うのかしらね?」 「……仕方ないと思うよ。だって、私は落ちこぼれだから」 自分で言って悲しくなってきた。 ……はぁ、私が空を飛べればパートナーが何度も変わることはなかったのかな。 この世界では、空を飛べない魔法使いは落ちこぼれと呼ばれている。 「じゃあ、今はパートナー募集中なの?」 「うん、そう」 「なら、私のお客さんにも言っておくわ。魔法石職人のリラがパートナー募集をしてますって」 「ほんと?ありがとう!」 「いいのよ。私は貴女のファンだから」 綺麗な笑顔で言われると、同じ女なのにとても照れてしまう。 それだけ綺麗な笑顔なのだ。 男が見たら、キューピッドの矢でハートを撃ち抜かれたようにルカに惚れてしまうだろう。 .
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!