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申し訳なく見ていたら、ユンさんがふわりと優しい笑みを浮かべた。
「それでも僕はリラさんのパートナーになりたいです。魔物狩りをしたくてリラさんのパートナーになりたいわけじゃありませんから」
……嬉しいと素直に思った。
長い魔法使い生活で、こんなにも嬉しいことを言われたことがあっただろうか。
いや、ない。
過去にパートナーだった人たちが、陰で私の事を悪く言っていたのを聞いたくらいだ。
ユンさんは、真剣に私のパートナーになろうとしてくれてるんだ。
しかもユンさんは美形なので、美形に免疫のない私は顔に熱が集まっていた。
手で顔を扇ぐが効果はない。
なので顔の赤さを誤魔化すために口を開いた。
「ユンさん、ありがとうございます!私のパートナーになってください」
「はい!」
ぱぁぁっと子供のような無邪気な笑みで言われた。
……は、反則だ。可愛かったけど、反則だよ。
いやいや、そんなことを思っている場合ではない。
ユンさんに一つだけ聞かないといけないことがあるんだった。
「パートナーのことなんですが、住み込みになるんですけどいいですか?」
「はい、大丈夫です」
……よかった、パートナーが決まって本当によかった。
今日一日、一人でやったけど泣きたくなるくらい忙しかった。
「仕事は明日からよろしくお願いします!」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
「部屋については明日、説明しますね」
するとユンさんが言いづらそうに口を開いた。
「…実は荷物を持ってきてるんです」
「え?」
「断られた時は店の外で粘ろうと思っていたので、色々と持ってきたんです」
おぉ、粘ってまで私のパートナーになろうとしてくれてたんだ。
なんか胸の辺りがくすぐったい。
「えっと、じゃあ部屋は二階の奥です」
「はい」
ユンさんは外に置いてある荷物を取りに出ていった。
そのユンさんの後ろ姿を見ながら、ふと思ったのだが。
なんか女性のお客さんが増えそうな気がする、と。
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