それは黒い野望だったなう。

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コポコポとビーカーの中身が揺れる。 ほの暗く照らされた室内でそれは怪しく響く音だ。 全体的に暗い室内で中央に座り込む人物が一人。 それは、深い藍のローブをまといその身を隠している。 「一一一一一一一一」 人の通常の言語ではない何かを呟きながら、それは床に描かれた幾何学模様に向かう。 「一一一一一一一一一一……」 一心不乱に何かを呟きながら、それは床に描かれた幾何学模様に更に模様を足していく。 しばらくして、それは描きなぐっていた手をピタリ、と止めた。 ローブの隙間からかろうじて見えた口元は、不穏なまでにひきつり一一一一 「一一一一ふふふふふふ、出来た…!ついに出来たぞ…!!」 酷く歪に笑うそれは歓喜していた。 自分の持ち得るもの全てに感謝した。 そして、うっそりと微笑みながら、呟いた。 「これで、長年の野望が一一一一一一一一叶えられる。」 それは、まさかあんなことになるなんて微塵も知る由もなかった。 一一…知るべくも、なかった。
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