一章

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「…もっと細かく話したほうが良いですか…?」 沖田さんはまるで仮面をかぶったように表情を変えない、 近藤さんは…涙を目にためていた 「ううん、いいよ、大丈夫。」 「そうですか、では沖田さん、私はあなたをどのように呼べばよろしいでしょうか、」 「んー、隊長とか?沖田さん、は長いし面倒でしょ?」 「ではお仕事の事なのですが、一日の日課として毎日やってほしいことなどありますか?」 「朝、起こしに来てほしいな、 僕弱いんだ、朝。あと…お茶、好きなんだ、美味しいの期待してるよ」 「わかりました、あとは…」 「いろはくん、総司が朝の稽古に顔を出すようにしてくれるとありがたいんだが…」 「近藤さん…」 「わかりました」 この問答はしばらく続いた、 そしていつの間にか夕食の時間。 「もうそろそろだな、」 「あぁ!、やっぱり紹介とかするんだね、」 「皆様にも過去のこと話したほうがよろしいでしょうか」 「いやそれはいい」 そして近藤さんが立ち上がり 私もそれについていこうとした、その時。 「いろは、」 「何でしょう、」 私は沖田さんに上辺だけの笑顔を向ける。 「お兄さんの名前は?」 「秋に水と書いてしゅうすいと申しますが…何か?」 「あき、すい、みず、しゅう…」 隊長は顎に手を当て、何かを考え初めた。 「あきみず いろは、うん、違和感ない。」 隊長の口から出たのは、 …名前? 「いろは、君の名前は秋水いろはだよ、これからはそう名乗って」 「なぜ…」 「めんどくさいし、聞かれるの、辛いでしょ、いちいち」 理由はともあれ、 名前をもらった、 この名前は、これから私にとってとてもたいせつなものになっていくが…まぁ、先の話だ。 「…わかりました」 そして夕食のとき、私は 秋水いろはと名乗った。 土方さんの不思議そうな顔は 一生忘れない。 .
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