一章

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歩きはじめてもう何日か経った ある日、 近藤さんは私に もう一度こう切り出した 「なぁ、いろはくん、俺のことはやはりまだ信用できないかな?」 近藤さんにそう言われ、彼が 何を言いたいのかがわかった。 それに私はもう彼をすっかり信用しきっていた。 故郷を出発してまだ数日だが、 近藤さんの性格は少しわかったつもりだ。 それに彼が局長を勤めるという 新撰組も話に出てきた。 今までに起きたことや、 新撰組の成り立ち、 少しだが隊士の話も聞いた、 …彼はきっと信用していい人だ。 「いろはくん?」 「あ…いや、えっと…、近藤さんの言わんとしていることはわかります。それに今、私はあなたを信用しきっていますし、…でも…」 「なぁに、タダでとはいっとらんよ、君も気を遣うだろうしな、俺は君を雇いたいと言っている。」 「………」 向こうで働けるなら… 「お、お願い…します…」 そうか、よかった、そう言いながら近藤さんは私の頭を撫でた。 それがとても嬉しかった。 .
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