一章

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そうして私は新撰組の屯所で 働くことになった。 私は料理ができない、 子供の頃から 料理する食材すら買うお金がなかったから それを伝えると近藤さんは 少し困ったようだった、 きっと私を女中として迎え入れるつもりだったのだろう。 「そうか、料理が…。苦労したんだな…」 「……………」 「そうだな…なら、ある奴の小姓をしてもらおう、」 「小姓…ですか?」 小姓とは普通、若い男子がやるものだが、料理もできないし、仕方がない。 「沖田総司といってな、悪い奴ではない、可愛い奴さ、だが少々我儘でな、前の小姓さんは辞めてしまったよ」 「はあ…、」 それって、ちゃっかり厄介者を押し付ける気じゃ… そう思ったけど、この人が拾ってくれた命、この人のために使おうと思った、 私は一回死んだんだ。
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