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「ん…ぁ、っやま、ちゃ…っ」
「…裕翔」
薄暗い部屋の中。聞こえるのは時計の針が進む音と僕らの声、こんなことをしている僕らは恋人なんていう甘ったるい関係なんかじなかった
「もう、いい?」
「う、ん…っ」
どうしても早くこの行為を終えて欲しかった僕は首を勢いよく縦にふった。ことの発端は、あの日からだったような気がする。ドラマのセリフ合わせで山ちゃんの家を訪れたとき、そうゆう雰囲気に流された結果いまにいたるわけで、世間でいうセフレとかいうやつだ。
「好き…なんだけどな」
終わったあと、痛む腰のままベッドに横たわっていた。あいにく山ちゃんは僕のためにご飯を作ってくれているからいないわけで。
山ちゃんは僕に対して恋愛感情なんてこれっぽっちもない。ただ、一方的な僕の片想いなんだと痛感していた
「…ずるい」
ポタポタと頬を伝う涙が布団にシミを作っていく。繋がっていた体温が冷めきっている今、溢れる想いに気づかないフリをするために強がっている僕は目隠しをしたままだ。
「裕翔、飯できた。食ったら帰れよ?」
「あ、うん。ありがとう」
視線を山ちゃんにむけないまま、横を通り過ぎた。お願いだから何もかも気づかないで欲しい。このまま曖昧な関係がいい
「あ、裕翔まった」
「ん?」
「帰ってもいいけど、仕事終わったら集合」
*今夜いつもの場所できみと
END
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