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「よーこそ! たなかホテルへ!」
俺を畳の部屋に案内すると、その少女はいそいそと座布団を引っ張りだして、そこに俺を無理矢理座らせた。
「のどがかわいたら、こちらをお飲みください!」
そして俺の前におーいお茶(たぶん飲みかけ)を差し出した。
俺の姪っ子(6才)によるホテルごっこ。本気で俺をもてなそうとしてるのかただ遊びたいだけなのかはわからないが、にこにこと愛想がいい。
ぶかぶかのエプロンをつけて、なんとかわいらしいことか。
もちろん断じてロリ的な意味ではない。
しかし、ホテルと同じように軽いお菓子まで置いてあるとは無駄に凝っている。
そんなことを考えていると、姪(6才)はわざとらしくコホンと咳をした。
「それでは、たなか様。まずはお食事にいたしますか?それともお風呂にいたしますか?それともわたし――」
「馬鹿っ!何言ってんの!」
姪(6才)が全部言い終わらないうちに、様子を見ていた彼女の母(俺の姉)に連れ去られていった。
遠くから『いつもママが言ってることじゃん!』と言っている姪(6才)の涙声が聞こえる。
……うん。俺の姪はかわいいな。ロリ的な意味ではない。たぶん。
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