ボクがキミと出逢うまで

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「ずっと一緒だった」 なんて大層なことは言わないし、言えない。 ボクは小学5年の夏、引っ越してきた。 今でも覚えてる。とても暑い海の日だった。 たくさんの荷物と、引っ越し業者のお兄さん。 忙しなく動く大人達の間で、ボクはボーっと突っ立っていた。 ココが今日から暮らす家。ココが今日から住む街。 期待なんて無いに等しい。 それよりも、これから続く暑い夏休みを、どう1人で過ごすか考えていた。 だってココには友達が居ない。 あんなにたくさんいた友達が居ない。 遊ぶ子も、話す子も、勉強する子も…誰も…。 悔やんだってしょうがないよ。前向きに考えなきゃね。いつもそう思って過ごしてた。 だから夏休みだって、近所を探検したり、児童館に行ってみたり、本を読んだり…。 そんなことをして過ごしていた。 1人だって平気だった。 何があったって泣いてはいけなかった。 困ったり、寂しがったり、頼ったりしてはいけなかった。 ボクには4つ離れた弟が居たから…。 自分が1番お姉ちゃんという言葉を嫌っていたのに、何よりも自分が1番“お姉ちゃん”という言葉で自分を縛っていたんだ。 気づけばボクは人に頼ることが苦手になっていた。 1人でも大丈夫だと過信していたから…。
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