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うさぎさんとあそぼ
とあるお医者さんのおはなし
その驚くべき姿とは裏腹に、やはりルーク医師との知識と経験、そしてアンネリス家の薬品庫の内容は素晴らしい厚さと重みのあるもので、まだまだ駆け出しのサジにとっては新鮮なことばかり。
彼がアンネリス家をいったん後にしたのは早朝といっていい時間であった。
その間、少しは休息がとれたのだろうか、こんな時間にもかかわらず見送るワグナー医師の顔色は少し赤みを増し、動作ははつらつとしたものに変わっていた。
「では明日…っていってももう今日だよね、また昼過ぎに。」
握手をして見送ろうとしたが、相手がその手を離さない。
「…サジ君?」
「……あ、あのう」
思わず見ると、サジの顔は真っ赤に染まっていた。
「え!! あの、嬉しいけど僕には椿ちゃんが」
「あ…違、ちがいます」
察しのよい彼は握ったままのワグナーの手をぱっ、と解いて「お願いがございまして」とだけ振り絞るように吐き出した。
「…『お願い』」
「その…教えていただきたいのです。『縫いぐるみ』というのは、どこで売っているのでございますか?」
「…!」
「またはなにを使ってどのようにして作るのでしょう。わたくしにもできましょうか」
「……あ?」
あまりの意外な言葉にワグナーはつい間抜けな声をあげてしまった。
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