うさぎさんとあそぼ ~あるお医者さんのおはなし~

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「ご覧なさいませ。おみやげがございますよ」 「…なんだ、これは」 「『うさぎさん』でございます」 サジがピンク色のふわふわした人形を差し出すと、案の定タオはいぶかしんだ。 「『うさぎさん』…?」 「おお、了解した。おもかげはあるのう」 「タオさま、タオさまそれではさかしまでございます」 「これを使って戦うのか?ひどくやわらかいが」 「そんなに強く引っ張ってはいけません」 「…苦戦しそうだ」 「戦うのではございませんよ。楽しく遊ぶのでございます」 「…『遊ぶ』」 「はい」 「…できるだろうか」 「かわいい、いとしいと思って抱きしめたら、それでよいのでございます」 生活経験は確かに限られたものであったが、サジより若いせいか彼女には柔軟性とある種の付き合いの良さがあった。 「うまくいきますよ、きっと」サジは微笑んだ。
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