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最初は、嫌いだった。
つうか、気に食わなかった!
子供にだけは人気者だと思ってたのに俺の自信をあっさりと壊して
爽やかな、透き通った笑顔を向けてきたもんだから、更に気に食わない!
俺は、何もかもうまくいかなくてこいつは何もかもうまくいってんだろうな、って考えたら
少し、むなしくなってきた。
そんな俺に声をかけてきたのは、あっちで。
何かと思えばコンサートのチケットがどうとか、こうとか?
俺との差を見せつけたいのかよ!とまた腹が立ったけど
世の中ではプレミアムチケット?なんていわれてるそれを手にして
なんか、行っちゃった。
そしたら俺の想像以上に輝いていて、キラキラキラキラ、笑顔を振りまいて。
違う世界の、人間なんだなって痛感した瞬間。
最初
ライバル意識なんてもって食って掛かった自分が恥ずかしくなって、多分チケットをくれるのも、食事するのも、これが最初で最後なんだろうななんて思ったら、なんか泣きそうで。
(胸、がずきずきして)
同じ世界で働いているとばかり思っていたけど、実際そうでもなくて。
別に自分の仕事が嫌いなわけでも必要ないと思っているわけでもない。
でも、ほら…
やっぱり、違うんだよ。
「あ、あのさ。」
「俺、きみのこと…」
「…、は?」
かなりの勇気がいるものだったんだろう。
顔を真っ赤にして、少し身体を震わせて、
今まで見たことのないそいつの姿に、なんだか笑いそうになって
泣きそうに、なって。
俺と変わらないんだって、
こいつも悩んで、苦しんで。
でも、誰かのために、自分が楽しんで仕事をしてて。
そんなことを考えたら違う世界に生きている人間?
そんなの、クソくらえ
「俺も好きだよ」
くるり、くるり、
(世界が廻って)(きみと同じ地平線に立つ)
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