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「甘いものが好き」
毎日、毎日君のために弁当を作ってきた俺に向かって、好みも何も教えてくれない君が
今まで何も言ったことのなかった好きなものを教えてくれた
甘いもの、彼の顔からはあまり想像できない可愛らしい食べ物に思わず笑いそうになりながらも理由がそれだけじゃないってじぶんでもわかっていた
好みを教えてくれた、ってことは俺に少しだけでも心を開いてくれたっていう証(このチャンスを逃すわけないでしょう!)
「てわけで、お菓子の雑誌とか読んでるわけですね」
「…んー」
「うわ、俺の相手する気ゼロでしょう?」
「んー」
「あんた、殴りますよ」
俺が真剣なかおで雑誌にのめり込んでいる俺を見て、話しかけてきたサキに俺がなんとなくの理由を話したら小さくため息をついた
その理由は俺が相手をちゃんとしないこと意外にあることなんて分かってる、俺がお菓子を作ってあげたい相手が問題なんだ
「あの、村崎さんになんで懐いちゃったんですかねぇ、貴方みたいな優等生が」
「別に…、そういうの関係なくない?俺は、村崎くんと仲良くしたいだけだし」
サキが何時ものように言ってくる言葉に思わず眉間にシワを寄せては雑誌から目線を外してサキを見るとニヤニヤとした顔でこちらを見ていた
「本当、好きですね」
「何が?」
「村崎くんのこと」
「…駄目?」
「いんや、物好きなのはお互い様でしょう」
そういいながらサキが視線を移した先にいたのはこのクラスのムードメーカーである翠川くん
サキが好きなのは、幼馴染である翠川くん
俺が好きなのは、学校の問題児村崎くん
つまり、二人揃って叶わない恋に奮闘中なのだ
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