解放

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解放

『黒冠』を自らの力で外すこと―。 このところ、そればかりを考えていた。 額についた『黒冠』に触り、増殖する悪意に蝕まれてしまった人たち。 逝く末は『影』の食糧となった。 優しかった先生の笑顔が思い返されるたびに、小さな胸はぎゅううっと、何かに押し潰されるようだった。 もし誰かに『黒冠』が触れたら。 考えるだけで恐ろしくなり ひとりで過ごす時間は増えたまま、減ることはなかった。
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