出会い

2/6
前へ
/106ページ
次へ
お客様がアメリカ軍人に なっただけの、 スナックと同じだけど。 仕事は歩合制で、 一杯800円のうちの半分が 自分の懐に入る。 飲み物は決まっていて、 ブランデーのショット。 慣れてくれば、高額のお酒でもいいことになっていた。 まぁ、やりがいはあるし、 『外人と話せるなんてかっこいい』なんて思っていたから、苦にはならない。 それよりも、人間関係に恵まれていたからとても楽しかった。 理緒19才。 当時のお気に入りは愛車の、 メタリックブルーのシルビア。 彼氏なし。 ・・・いやいや、うそついた。 最近できた彼氏が二人いる。 ノリで付き合い始めた日本人の彼は九つ年上で、なんだかいまいち掴み所のない人だ。 もう一人は、米軍のセキュリティ〈警備〉をしている22才。任期二年で日本に在住している白人だ。 別に真剣に考えているわけではなかったし、お店も失業保険が降りるまでのつなぎで、もうすぐ辞める気でいるから問題はない。 まぁおわかりのとおり、 中途半端な私なのです。 でも、ローンも借金も無いし、毎月家にもお金を入れてるんですよ。 それは、当たり前だって思ってますし、ただパラサイトしているわけではないんです。 その辺は認めてください。 そんな私が、 毎日暇さえあれば思っていることといえば、 『いい出会いが転がってないかな‥』 イケ面が道に転がってようものなら、そのままお持ち帰りしそうだ。 実際そんな事ができるほど人間できてないですけどね‥。 「今日もどーせ暇だし、ドリフトみにいこーっと。」 スリリングな事に物凄く飢えていたのか、走り屋にはまっていた。 といっても自分は野次馬したり、格好だけ真似してるヘタレですが‥ 走り屋の中でイケ面を探してみたがいるはずもなく、ただ走りを見るだけに行っていた。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

244人が本棚に入れています
本棚に追加