0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
───9年後
「おはよう、行ってくるね」
僕、水無月 智亜が写真の前で挨拶をしたのは
弟─乃亜。
乃亜は僕の一つ下で
小学生のころ、スキー授業で行ったスキー場で
遭難してしまった。
原因は、乃亜の単独行動によるものであったという。
だけど、いくら捜しても乃亜は見つからず
1ヶ月も捜索した結果、もう生きている可能性はないだろうと判断し、捜索は打ち切り。
もう兄弟4人で星をみることは出来なくなってしまった…。
すごく悲しかったし
辛かった。
でも兄ちゃんたちもみんなも悲しいんだ。
前を向かなきゃ乃亜に失礼だ。
「よしっ」
返事をしてくれただろうと思い、僕は立ち上がり玄関に向かった。
「じゃあ行ってきまーす!」
「ちょっと待て智亜。寝ぐせができてる」
そういって僕の寝ぐせをなおしてくれてるのは、次男の璃亜兄。
大学1年生で天文学を学んでいる。
「よし、出来た。今日も完璧だ」
「ありがとう!」
「あー!待ってくれ智亜!一緒に行こう」
慌てて玄関にかけてきたのは、長男の優亜兄。
塾の講師をしている。
弟の僕から見てもこの二人は超イケメンだ。
ホストになったら絶対No.1だね、どっちも。
「行ってきまーす!」
「璃亜、お前も遅刻するなよ?」
「わかってるから。さっさと行きなって」
「へいへーい」
乃亜、今日も晴天です!
*
最初のコメントを投稿しよう!