その後の世界。

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
誰もいなくなった世界は物凄く退屈で。 心にぽっかり穴が開いたようだった。 一度消した存在は、二度と元に戻すことはできない。 それは現実も想像も同じ。 消えたものは戻らない。 毎日毎日同じ生活。 なにもない場所でひたすら座って過ごす。 どうやら私は、人を消しただけでなく、 その人達が作ってしまったものも消してしまったようだ。 だから今の私に見えているものは、一面に広がる土、草、少しの花。 人が発達していく前の、なにもない世界。 食べるものといえば、そこらへんに生えている植物。 食べれるのか知らないけど。 それと、動物。 猫とか、犬とか。 でもそれを食べる為には、 それを捕まえて、 毛皮を剥ぎ、 肉を裂かなければならない。 そんなの面倒。 だるい。 ついでに言えば最近は、 植物を取るのもだるくなった。 座っているのも、 息をするのも、 酷く、気怠い。 だから私は思ったんだ。 何もない土の上に寝転がって。 僅かな酸素を肺に取り入れながら、 私も消えよう って。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!