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エクセドラには夫がいた。
夫は妻と娘の食料を探すために遠くまで出かけ、そのまま被爆した。
帰って来ない夫を探し、夫の亡きがらまで辿り着いたエクセドラも被爆し、足の皮膚が熔け、歩けぬ体となった。
アリス「取っておくつもりは無いわ。もうお腹ペコペコだもの。言っておくけど1枚はお母さんの分だからね!私はいらないとかは言わせないんだから!」
母がもう長くないことはアリスも気付いていた。
それでも認めたくはなくて
少しでも母との思い出を作っておきたくて
アリスは毎日食料を探して歩いた。
翌日何も見つけられなかったアリスは、自分が食べずに取っておいた植物を、また見つけて来たと嘘をついて母親に食べさせていた。
そんな子供の努力では大した結果は生まず、
父が亡くなった2週間後、母も帰らぬ人となった。
何年か振りに雨が降る。
半分崩壊した屋根から容赦なく降り懸かる雨の中、アリスは母親を抱きしめて泣いていた
彼女の手には、唯一の母親の形見である手鏡が、しっかりと握りしめられていた
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