紅海

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気を取り直して、ワゴンを押しながら各室を回る。 東廊下の角部屋に入っている女性は殆ど寝息が聞こえないため、近くに寄ると掌を口元に持って行き、呼吸を確認した。 良かった、生きてる。 普段はここまでせず、ドアの所から覗き込むだけの事が多いのだが、近頃の麻衣は少し神経質になっていた。 なんせ、今月だけで麻衣の夜勤中に二人も亡くなっているのだ。 発見が遅れれば、家族や上司から責任を追及される事もある。 何よりも、麻衣自身が、あんな背筋の凍る思いは二度としたくなかった。 人員不足のため今すぐには叶わないが、もう暫くしたら夜の勤務を外してもらう事になっていた。 この緊張感が苦痛で堪らない。
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