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「あと、二部屋か……。」
20近い居室の大半を廻り終えた頃には、既に時計の針は5時を回っていた。
いつもならそろそろ起床の準備を始めなくてはいけない時間だというのに、残りの二人はどちらも手がかかる。
間に合うだろうか……。
麻衣の焦りはピークに達していた。
これまでの力仕事と、時間に追われる緊張とで、身体中からは汗が噴き出している。
朝方のヒンヤリとした空気に触れてもそれはいっこうにひかない。
麻衣は自分を奮い立たせると、「大江」とプレートの掛かった、突き当たりの部屋の扉をゆっくりと開けた。
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