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「また夢見たんですか?」 「うん」 パン生地をこねていると、バイトのイチが心配そうに尋ねてきた イチは俺より3つも下なのに、 俺より確実に大人だ 「隈ができてる。こんどよく眠れるアロマ、持ってきてあげますよ」 「へぇ、そんなのあるんだ?」 でも、そんなもので あの夢が消えるとは思わない 「何の夢か教えてくれたら、対処のしようもあるんですけどね」 釜戸の温度を確認しながらイチが呟いた そう、イチは あの夢の内容を知らない ただ、悪夢を見てるんだと思ってる イチの呟きは 聞こえないフリをして パン生地をこねる ごめんね でも、教えられないんだ これは、 この夢は 俺への戒めだから 、
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