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プロポーズからは時が過ぎるのがとても早かった。
事務所を説得できたけれど、結婚のことはまだ知られてはいけない、ということで今まで通り別々に住んでいた。
ただ変わったのは苗字。
ママの家系の苗字から『大倉』に変わった。
大倉さんのことも、愛華は『忠くん』愛音は『たつくん』と呼ぶようになった。(なんかお父さんとは呼びにくい)
そんななか、エイトのライブツアーが始まった。
ライブツアー
名古屋公演最終日早朝
ママの陣痛が始まった。
ただよしにはまだ言わないでいい。なんて苦しそうに言うママよりも愛華のほうが泣いてしまった。
陣痛は長く続き、3時間くらい経った頃やっとちゃんとした部屋に入って行った。
そこで、忠くんに電話することにした。
「もしもーし。もうちょっとしたらリハ始まるでー!」
「‥…。」
忠くんの声を聞いたら、安心して涙がいっぱい出てきた。泣いてしゃべれない愛華に代わって愛音が携帯電話を耳にあてた。
でも愛華もぴったりくっついてるから、声聞こえるんだけどね
「愛音だけど、」
「愛華やと思ったわー!やってこ「たつくん、赤ちゃん生まれるよ」
「‥えっほんまに?!」
「うん」
「俺そっち行かな「あほか!」いだっ!」
勢いで名古屋から来ようとしちゃう忠くん。は、一緒にいると思われるヒナちゃんにどつかれたみたい。
「たつ、まだ本番あるやろ!」
「でも俺、おとんやし。」
「気持ちわからんでもないよ。でもそんなんできんやろ‥」
「わかった‥。愛音、愛華も聴こえてる?」
「うん、どつかれたのも聴こえてる(笑)」
「んは、丸聴こえやん(笑)」
「たつくんいなくても母さんなら大丈夫だよ。ほら、強いし(笑)」
んは、なんて笑ってからすこし咳払いをした
「‥愛華、愛音。ごめんなぁ一緒に居れんくて。不安やろ?怖いやろ?今度会った時はいーっぱい甘やかしたるから、今日はお願いします!名古屋終わったらすぐ行くからな!」
うん、と小さく呟いた愛音からも涙がぽとぽとと溢れていた。
「っ忠くん大好きぃ!」
「たつくん、俺も~」
「なんや俺、めっちゃモテモテやん!んはっ幸せなおとんやわ~!俺もだぁーいすきやで!」
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