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「ちょっと外行ってくる~」
ひとりごとのように呟く。
みんながそれぞれで騒いでるから忠くんくらいにしか聞こえなかったと思う。むしろそっちのが好都合
貰ったものはどれも嬉しかった。
やけど忠くんに貰ったものは何百倍も嬉しくて、ついに涙がこらえられなくなったアタシはテキトーに言ってその場から逃げることにした。
とりあえず来たのはマンションの屋上。あんまり人は来ぇへんし
テキトーに壁に寄り掛かって座る
ケータイも持たずに出てきて、
唯一手に持っていたのはさっき忠くんに貰った白い紙やった。
忠くんがおとんになってから
ほんまアタシ涙腺弱なったわ、なんて。
アタシ泣いてばっかや。
お父さんってこういうものなんだろうか。
幼い頃は父親がいないとからかわれていたこともあったけど、アタシにはママと愛音がいるからいらない。なんていつも強がっていた。
お父さんがいなかったアタシに1から『お父さん』を教えてくれたのは忠くん。
改めて見てみると裏には
『世界一かっこいいおとんより』
なんて書いてある。
ナルシストですか、お父さん(笑)
未だに留まらない涙。留めようとも思わんから流れっぱなし
たまにはこういうのもいいかな、なんてぼーっとしてみる
少し肌寒いけど、今はなんだか心地好い。
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