◇ 春、出会いの季節

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「ぴぃは異動せぇへん?」 「今のままやって」 3月下旬、明日は離任式です。 「あ゛ー!でもぴぃが担任じゃなくなるんやったら行きたない」 「替わらんかも知れんやろ?行こうや」 駄々っ子なう!なのはアタシ。 クラス替えは無いんやけど、担任は替わってまうかも知れん。 それなら学校なんて行かんってまたへそ曲げてます。 「でも今日行かんかったら山ぴぃが担任最後の日逃すで?ええの?」 「良くない。行く」 やっと行く気になったアタシを 忠くんは「はよ着替えて来ぃ」って部屋に押し込んだ。 風雅を送った後の朝の大倉家はアタシだけがうるさい。 愛音は支度終わってニュース見とるし、忠くんはコーヒー飲んどるし。 着替えて身支度を済ませたアタシを愛音が引っ張って行く。 アタシが駄々こねたからいつものバスに乗れんくなって、次のバスを待っとる余裕なんて無くなってん。 遅刻を避けるために 午後から撮影を控えてる忠くんの車に乗り込んだ。 「たつくん早めお願いね」 「はーい」 愛音におにぎりとペットボトルのお茶を手渡される。 「いらん」 ぶーたれてるアタシにこの人はどこまでも大人だ。 忠くん以上にね‥(笑) 「これ誰が作ったかわかる?俺だよ、俺。感謝して食べなさい」 「はい‥」 _
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