◇ 春、出会いの季節

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おにぎりを食べ終わって車内でかかっている音楽をノリノリで歌い始めた頃、 遅刻3分前になってようやく校門の前に到着した。 「はい、いってらっしゃい!」 「うん」 「行ってきまーす」 忠くんに見送られ門をくぐる。 「愛音待ってぇ~よ」 「まったく」 走るのが遅いアタシを愛音は引っ張って走り出す。 ─キーンコーンカー‥「セーフ」 「はい、セーフだから席着いてー」 「山下先生おはようございまーす!」 チャイムが鳴っている途中になんとか入り込んだ教室。 みんなはしっかり着席しているから滑り込みは目立つねん(笑) 冷静なぴぃに注意されて大人しく席に着いた。 「大倉兄弟遅刻かと思ったー」 「有岡でも遅刻しなかったのに」 「ちょっと山下先生ー!」 やんやん言うてるのは山田と有岡とぴぃ。 朝から元気やんなー。 「眠いね。」 「昨日たつくんと夜中ずっとテレビ見てたからだろ」 窓側の後ろから2番目がアタシの席。アタシの後ろに座る愛音に話しかけるのが授業中のアタシ。 朝のHRを終え、体育館に移動。 全校生徒が集まったところでようやく今日のメインである離任式が始まった。 _
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