◇ 春、出会いの季節

5/10
前へ
/210ページ
次へ
テンション下がってすっかり静かになったアタシなんてお構い無しに時間は進んでいって、 「3年になっても頑張れよ。じゃ、さよーならー」 山下先生担任最後の日が終わりました。 みんなが教室から出ていく中で、アタシはまだ動けずにいる。 「愛華帰んないの?」 「帰るし、山田うるさい」 「はっ!八つ当たりすんな!」 「はいはい、愛華帰るよー」 お昼の時間やからご飯食べに行こう、ってなったみたい。 そんなこと知らなかったアタシはテキトーに山田に八つ当たり。 (ほんまごめんなさい) 4人で歩く帰り道。 「まあさ、元気出せって。今年も俺ら同じクラスだし、な?」 「別に愛音居ればえぇし」 「愛華尖んないの」 「はーい」 有岡に慰められるも拒否(笑) やけど愛音には素直なアタシ。 「誰か電話鳴ってね?」 「あ、アタシやん」 通話ボタンを押し耳にあてる 「愛華~離任式どうやった?」 忠くんからの電話でした。 「普通」 「テンションごっつ低いやん(笑)」 んはははって笑ってる後ろからもざわざわと賑やかな雰囲気が伝わってくる。 あ、侯くんの笑い声聴こえる。 「今な、楽屋でお昼やねん。でな、今日は焼き肉弁当にしてん。えぇやろ?愛華はなんか食べた?」 「有岡と山田と4人でお昼食べいくとこー」 「そかそか。美味しいもんいっぱい食べ!なるべく早く帰るからいい子にしとくんやで」 「うん、いい子にしとく」 「ほなバイバイ」 「がんばってねー」 大した内容やないけど、忠くんなりに気にして電話してくれたんが嬉しくて 少しやけど元に戻ったアタシ。 単純にできてるやろ? 「有岡おんぶ!お腹空いて歩けんわ!」 「おっ、元気になったか!」 「元気だったらおんぶとか言わねーだろ!大ちゃんバカ?(笑)」 「うるせぇ山田!」 「山田はもっとばーかー(笑)」 _
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加