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キッチンに立ちホーローの鍋で牛乳を温めながら、俺はひとり苦笑した。
ひとまず一件落着と行きたいとこなんだが。
まだそうもいかねーんだろな。
確かにここ数週間、とんでもねえ主任の件でかなり精神的苦痛を受けたはずの湊。
その湊がむしろ大抵いつも、自分より他人のことで思い煩うヤツなんだってこと。
そう。
この後アイツが考えそうなことなんて、笑っちまうくらい容易く予想がついてしまうんだ。
そして。
出来上がったホットミルクをトレイに乗せ寝室に運んでいくと。
案の定だ。
布団の中で大人しく仰臥し、天井の一点を見据える湊は口をへの字に曲げてすすり泣いている。
肩を竦め、喉を鳴らしひとしきり笑ってから俺はその枕元にそっと腰を下ろした。
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