2. ~Side Jiro~

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「この辺は?痛む?」 尋ねながら俺は氷室カナの小さな膝頭を慎重に触診し、膝蓋骨のブレを探った。 確かに膝はバスケをやる女の子に比較的多い故障箇所だったが。 「…そんな、痛くないです。///」 氷室カナは何だか待合いにいた時とは別人のようにしおらしく、顰めた顔を俯かせ小声で返して来た。 「ん。今回のは故障じゃなくてありふれた筋肉疲労ってとこだな。大丈夫大丈夫!」 そう笑って太鼓判を押し、立ち上がった俺を、彼女は慌てて見上げて来た。 「え、もうおしまいですか?」 「はい、おしまいです。」 カルテを脇に挟み敬礼で返すと、抗議的眼差しで睨んでくる。
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