11.~ Side-Jiro-4 ~

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俺と湊が入籍してからこっち、いつ頃子供を持つかって話を具体的にしたことはまだなかった。 ただ、二人とも子供は全然苦手じゃないし、増して自分たちの血を分けた子を授かるなら時期なんて厭わない。 来るに任せよう。 という共通認識は互いにあったつもりだ。 でも実際のところ。 新婚間もないと言っていいし、湊自身ついこの間まで学生で、社会に放り出されたばかりのそれこそまだ子供みたいなもので。 だから俺は湊の肩を抱き、声を改めて尋ねた。 「なあ。みなと。」 「は、はい。」 つられるように改まった返事を返す湊。 「先回りして言うのはズルいかもしれないけど。俺は男だし、もうこんな齢だしさ、…もし子供が出来てんなら、こんな嬉しいことはない、って思ってる。」 「ジロちゃん…」 グラリ揺れた黒い瞳が少し潤んだ。 何を言っていいのかわからず唇を噛み締める湊の火照った頬に、俺はもう一度優しく触れた。 「でもお前はそうじゃない。まだやりたい事だって…」 俺の言葉の皆まで聞き遂げず、ぱっと華やかに綻んだその表情に俺はハッとなった。 そのまま俺の首元に抱きついてきた湊は、深い溜息をついた。 .
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