11.~ Side-Jiro-4 ~

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襟元に顔を埋めたまま小さく幼気な声で湊が言った。 「…嬉しくないわけないよ…。ジロちゃんがそんな風に思ってくれてるなら、あたし、」 顔を上げ、間近からはにかんだ笑顔でじっと俺を見つめながら。 「あたし、何にも恐くなんかない。…から。」 理由は分かんねえけど、その甘く優しい湊の笑顔を捉えた時。 直感的に思ったんだ。 奇跡が起きる、って。 そもそも奇跡ってなんだ? ありえない状況下に、とんでもなくありえないことが降って湧くこと? そうじゃない。 奇跡の種はほんとはそこらじゅうに散らばっていて、 手繰り寄せて大事に守って、そして花開かせるのは、 俺達自らの手なんだって。 そんな風に、思ったんだ。 .
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