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「うん。…」
目線をやや下に向け言い淀んでると、ほら。ってあったかいカップをあたしの手に持たせてきたジロちゃん。
ふぅ。と息をついてから、あたしは仕方なく顰め顔のまま話しだした。
「あの、…さっきの七里女バスの…」
「カナちゃんか?」
頷いて、ちろっと上目にジロちゃんを見てから。
「指輪、みられちゃった。」
ジロちゃんは端正なその顔の眉を片っぽだけキュッと曲げて、
「そう。…で?」
だから何?って、訝しそうに少し首を傾げた。
で、あたしはさっきよりもう少し声のトーン落として。
「人妻なのに、仲いいんだ、…ってツッコまれちゃった。」
「え!?仲いいってつまり、俺と?」
頓狂な声で言うなり、ジロちゃんはあははと大笑いしだした。
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