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「…と。」
呼んだ患者さん達を診察室内に通しながら、ジロー先生の綺麗な瞳がくるッとこっちに向き、
「お。氷室カナちゃんじゃん。」
とあたしを捉えて、人懐こく笑った。
「先生、こんちは!」
「あれ。キミ確か先週で施術終わったはずだけど…」
ギョギョ、っとあたしは目を泳がせてから、
「あ、えと、今日の部活の時ちょっとまた痛みが…」
と口から出まかせで返して。
隣に立ってるトモカもさすがに一瞬、え、って非難の眼差しをあたしに向けたみたい。
だって、
今日はどうしてもトモカに紹介したかったんだ。
ジロー先生のこと。
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