1.~Side Kana~

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「…と。」 呼んだ患者さん達を診察室内に通しながら、ジロー先生の綺麗な瞳がくるッとこっちに向き、 「お。氷室カナちゃんじゃん。」 とあたしを捉えて、人懐こく笑った。 「先生、こんちは!」 「あれ。キミ確か先週で施術終わったはずだけど…」 ギョギョ、っとあたしは目を泳がせてから、 「あ、えと、今日の部活の時ちょっとまた痛みが…」 と口から出まかせで返して。 隣に立ってるトモカもさすがに一瞬、え、って非難の眼差しをあたしに向けたみたい。 だって、 今日はどうしてもトモカに紹介したかったんだ。 ジロー先生のこと。
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