7.~ Side Minato-3 ~

2/15
7903人が本棚に入れています
本棚に追加
/127ページ
通勤ラッシュの窮屈な電車に揺られながら、あたしは犇めき合うサラリーマンの向こうの窓から、流れ行く朝の景色を見ていた。 進む電車に合わせてキラリ、キラリと反射する窓の光が、心地よく視覚を刺激してくる。 瞼の裏をくすぐるようなその光を見ていると、今朝方ジロちゃんがくれたあの優しくて心強い言葉が不意に思い出されて、思わず頬を緩めてしまった。 『他の誰が何を言おうと関係ない。…俺がみなとを。…みなとが俺を知ってりゃそれでいいの。』 うん。 そうだよね。ジロちゃん。 あたし、仕事も恋愛もソツなくうまく立ち回れるような人間じゃないけど。 そんなあたしを全力で守って、愛してくれるジロちゃんが傍にいるんだから。 だから、強くならなきゃ。 .
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!