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ロッカーで着替えを済ませ研修のミーティングルームに入ると、既に同僚の景子ちゃんがデスクに座っていた。
「おはよ~!…早いね、景子ちゃん」
って、隣のデスクに腰を下ろすあたしに、景子ちゃんもニッコリおはよう、と返してから。
「…ね、ね、廊下で“トゲ井”に会わなかった?」
っていきなり不吉っぽく声を潜めて尋ねてきた。
「え?う、ううん。今日はまだ。」
「そう。じゃよかった。…今日のトゲ井すこぶる機嫌悪そうなんだよね。」
もっと声を潜め、眉毛まで顰めて言って来る景子ちゃんに、ええ?、ってあたしもゲンナリ声を上げてしまう。
やだな~…いきなりかぁ。
昨日の今日だから尚更気が重いや。
「昨日のプレゼンうまく行かなかったのか何だか知らないけど…何か八つ当たりされそーで。…みなとちゃんも、気をつけ…」
景子ちゃんが言い掛けた時、バタンと乱暴に扉が開かれる音がして、あたしたちは同時に振り仰いだ。
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