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それは終業まであと一時間を切った頃だった。
あたしと景子ちゃんは一日パソコンを睨みながら資料作成に明け暮れて、もうヘトヘトだった。
新人の男の子たちは、丸井主任にどうでもいいような外回りの仕事を次々申し渡され、この寒空の下ほとんど出ずっぱりだった。
途中律儀に部屋に帰ってきたら来たで、主任から明らかに余計な仕事をわんさか押し付けられて、再び悔しそうに表情をゆがめて出て行くありさまで…。
「お、お疲れ、斎藤くん。戻りたてのとこ悪いけどさあ。下行ってそこのゴミ箱のゴミ、捨ててきてくれる?」
「えっ…僕、ですか?…」
「…なんか、あれだな、この部屋の人間はみーんなとりあえず俺に楯突くのな。」
あたしだけじゃない。
「…」
「素直にハイって即答できる奴はいねえのかよ!ああ!?揃いも揃って盆暗共めが!」
もう本当にみんな、我慢の限界が近いのかも。
唇噛んで、いつしかあたしはこっちに背を向けてる丸井主任を睨んでいた。
と、その時フっとこちらを向き直った丸い主任と目が合って。
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