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「…」
「……」
いよいよ何か言いにくそうに頬を染め目を泳がせてキョドってる様子の氷室カナに、俺はやれやれと先に言葉を紡いだ。
「…部活帰り?」
「あ、は、はい、…であの、」
「また膝痛むとかか?」
「あ、いえ、は、はい、っていうかあの、ちょっとだけ…っていうよりむしろ…っ」
言いあぐねて取り繕っても、まあ大方この手の子の考えている事の予測はつく。
まあ、高校の頃の湊はもっと分かりやすかったが。
そんなことが頭を過ぎって思わずフッと笑みをこぼすと、何か勘違いさせてしまったのか彼女は恥らうように一瞬俺を見てから、ギュッと唇を噛み締め再びうつむいた。
「それとも…また俺に何か、話したいことある?」
「は、はいっ!!!」
やっぱりだ。
と俺は内心ほくそ笑んだ。
おそらく昨日の湊とのことだな?
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