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「ああ、ごめんごめん。」
わざとらしく軽く答えながら喉を鳴らして笑うと、やにわにむっとした表情になった。
「笑わないで下さいよ!あたしマジです」
「…本気なの?参ったな。俺こんなオッサンなのに?」
「オッサンなんかじゃないです!そんな言葉で誤魔化さないで下さいよ!」
相手に敢えて苛立ちを募らせていくのも無論俺の策のうちなのだが、氷室カナ自身はその事には気づいてはいないようだ。
学校じゃ飛ぶ鳥落とす勢いの今時の現役女子高生なんだろうが、所詮はまだまだ子供だ。
「そっか。やっぱあたしみたいなガキなんて恋愛対象じゃない、ってことなんだ。」
口端をもたげたまま、俺は待った。
氷室カナ自身からその言葉が紡がれるのを。
「女子高生に告られるのなんて日常茶飯事なんだろうし?珍しくも何ともないから、面白くないんでしょ!?」
「ぷ。そんな風に見えるんだ。俺って。」
一向に真面目に取り合おうとしない俺に、ついにブチ切れ寸前モードに入ったか、氷室カナは泣きそうな目で俺を見て肩を震わせそして。
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