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遂に彼女は、その決定的な一言を口にした。
「フツーの恋愛じゃ物足りなくて、もっと大人でエロい恋愛の方がいいんでしょ?…だからあんな人妻とドロドロの不倫してるんだ…サイテー!」
「…」
したりと笑った俺を誤解し、
「あたし、ジロー先生のこと見損ないました!!」
と勝手に失望してくれる氷室カナに、俺は
「ストップ。」
と待ったをかけた。
悔し涙に喉をしゃくりあげてる彼女に、俺は静かに言った。
「なあ…あんな人妻って、“みなと”のことだろ?」
「!!」
俺の口から湊という単語が出た瞬間、彼女は肩を震わせた。
が、すかさずぶつける。
「キミ、そのことで、…みなとに何か言った?」
怒りを孕ませた涙目で俺を睨んで、氷室カナは言った。
「だって!サイテーじゃん!あんな若くてダンナさんが居る身なくせに、不倫するなんて!ジロー先生も、あのみなとって人も、二人ともサイテー!」
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