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「それはダメ!」
「ええっ!?」
突然の俺の言葉に夏希はくりっとした目を広げて少し驚く。
そりゃそうか…好きなの選ばせておいてダメだなんて。
…ただ、これだけは譲れない。
「当たり付きにしてっ!」
という俺の要望に若干の疑問を顔に浮かべながらも、夏希はしぶしぶと、当たり付きチョコアイスを指差した。
それを見た俺は満足気に笑いかけ、それを受け取るとレジで精算する。
そして自動ドアの開く音と共に、遠くからチャイムの音が響いた。
チャイムの音を聞き、小さく冷や汗を流しながら夏希を見る。
すると、彼女もこちらに視線を向けてオロオロとしていた。
「ま、まずい!走るぞ、夏希ィ!!!」
「はぅっ…ちょ、ちょっと待ってぇー!」
言葉と共に走り出す俺に、慌てた様子で夏希が続く。
しかし、遅刻しそうな状態でも、俺は心のどこかで安心していた。
―――大丈夫さ、夏希の“炎”は白だったのだから、と…
「いけね、俺には影響無いんだった…」
俺だけ遅刻した。
ちなみに夏希のアイスは当たり。
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