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「信じろよ
半年でも、1年でも
それ以上でも待ってるから」
嘘だ
自分がどうしたいかなんて
自身でよくわかっていた
それでも
仮面を被りいい男を演出した
「ごめんね、もう決めたの」
彼女の瞳は
涙で見えなくなっていた
駅のホームは
いつのまにか空いていた
桜の手を握り、電車に乗った
電車内も空いていて
それでいてカップルが目立った
僕らは席に座り
会話もなく、ただ
お互いの手を握りしめた
その手は
とても震えていた
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