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あ、僕いじめられているんだ。
彼、岩村勇太は二年生になってやっとそう気付いた。
そして、いじめられたまま一年間を過ごし、三年生になった。
さっそく三年生最初のいじめが朝からあった。
上靴が隠された。
愚痴を言うことも無く、勇太は靴を探した。
「僕の靴知りませんか?」
「やだ、キモイ!」
厚化粧の女子に聞いてみたがだめだった。
不思議なことに、いや、いじめられているせいか友達はいなかった。
もちろん女子には避けられている。
「見つからない、諦めるか」
大きめの声で言ってみる。
すると靴が頭にぶつかった。
「いてっ」
「お前帰れよ~キモイんだよ~」
ははは、と笑っていじめっ子集団が動き始めた。
いじめられてるとなんとなくわかるんだよなー、と靴を履いた。
だいたい物を隠されたら諦める。
するとすぐに返してくれる。
勉強は嫌いな方ではない勇太は、いじめのことも経験から勉強するようにしていた。
勇太という名前は勇気のある子に育ちますように、と両親が付けてくれたもの。
だが、どちらかというと我慢強い子になってしまった、と自分で思う勇太だった。
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