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「もう色々と驚かされたよ。南野と話してた江藤佐和子さんと、笠原希さんって女の子の会話から思ってもみない事実を聞くことになっちゃったんだから」 「佐和子と……笠原の会話って、どうやって」  思わず問いただしてしまう。驚かされたとは、完全にこっちの台詞だ。 「え? そりゃ尾行ですよ」  ゴシップ屋の返答は、朝食に何を食べたか話すくらい気安いものだった。  情報収集のためなら、平然と尾行もこなす。ゴシップ屋なんて肩書きは生易しい。まるっきり浮気調査の私立探偵じゃないか。 「でもまさか、南野が希さんにまとわりつくストーカーへの対策を任されていたなんてね。その話を聞いて、慌てて二人から離れたよ。私がストーカー扱いされちゃうもの」  ゴシップ屋はちょっとした小噺のようにけらけらと笑った。  しかし笑えやしない。実際、やっていることはストーカーと相違ない。
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