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「それにこの希さんというのが、南野の元カノときたもんだからね。いやいや驚きました」  隠れ蓑にするはずだった僕の過去は、物のついでのように白日の下にさらされた。  甘く見ていたわけじゃない。常識的には、今回の一件まで辿ってくることはできなかった。  ゴシップ屋が想定していた以上に、常識外れだった。  こうなると、教師間の不倫を証拠に自身の出席日数を自由に操作してる……なんてうわさも真実じみてくる。 「それで、何が目的なの」  腹を括り、言葉に棘を持たせて言い放つ。  表情が変わらないよう顔面の全神経に注意を払い、なんとか平静状態を保とうと試みる。  返答によっては、ゴシップ屋と敵対することも覚悟しなければならない。……考えたくもないが。  するとゴシップ屋は歩調を速めて、僕の前に通せんぼするように立ちふさがった。当然、僕も歩みを止めるかたちとなる。
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