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いつのまにか特別教室の並ぶ区域まで来ており、幸い周りに他の生徒の姿はなかった。
「手伝うよ。役に立つ自信はある」
思いもよらない真摯な表情と言葉に、今度は面食らってしまった。
これは予想の斜め上を行く展開だ。学校中から恐れられているゴシップ屋に、脅されることはあれど手を差し伸べられるだなんて。
「……見返りは?」
恐る恐る尋ねると、ゴシップ屋は気分を害したようで、典型的なふくれっ面をした。
「あのねぇ。私をなんだと思ってるの? 犯罪に巻き込まれてる女の子を助けようとしている人から、たかりなんてしません」
「その言い方だと、そこらの人間にはたかっているように聞こえるぞ」
ゴシップ屋は急に明後日の方向を向いて口笛を吹き始めた。
「否定しろよ」
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