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旧友の江藤佐和子との会話を終え、なんとなく、校門の前でその後ろ姿を見送った。
そんな僕の脇を、まだ真新しく、着崩されていない制服に身を包んだ男子生徒の群れが行き過ぎる。
一年前の僕も、上級生の目にはこんな風に映っていたのだろうか。
何一つ成長していないように思えるのに、ブレザーは時の経過の分だけくたびれている。
あの日から、どれだけ変われただろう。
「あの子誰? 彼女? 彼女なのね? ふふふふ、みなまで言わなくていいのよ」
背後から好奇を隠そうともしない質問が投げつけられ、感傷は音もなく崩れ去った。
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