プロローグ

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「訂正するよ。これまでにあいつと僕とのあいだに恋愛関係は誓ってなく、これから恋愛関係に発展する可能性は限りなくゼロに近い」 「ふーん。過去のことについては調べさせてもらうからいいとして、未来の発展可能性を否定する根拠は?」  どうしてそんなことを話さなければならないんだという生理現象のように出かかった反論を飲み込み、かいつまんで結論を挙げることにした。  彼女の情報収集能力ならば、事情の概要程度は早晩掴んでくるはずだ。 「あいつが僕の性格をかなり把握した上で、僕のことを嫌っているから」 「嫌っている相手に会うために、わざわざ他校まで来たりするのかな」  当然の疑問だ。さて、これに答えるには多少身の切り売りが必要になるが……。 「性格を嫌っていても、能力を否定しているわけじゃない」 「それというのは、もしや!」 「そう、君もしている残念な勘違いだよ」  嫌々ながらも頷く。
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