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いつも言ってたもんね。『仕事なんかに邪魔されずに、ずっと一緒にいたい』って…私と同じように、私の周りにいる人に嫉妬していたんだね。
顔を上げると彼と目が合い、二人でクスリと微笑んだ。
「「これでずっと一緒だね」」
段々立っているのが辛くなり、意識が遠のいていく。
目の前にいる大好きな彼の姿が徐々にぼやける。
最後までずっと彼と触れ合っていたくて、力のない冷たい手でゆっくりと彼の頬を両手で包み、そのまま首の後ろに腕を回した。
彼の青い唇から『お前の手…冷たすぎ』なんて小さい声が漏れた。
ねぇ、最後のキスをしよう?
眠りにつくためのキスを…
顔を上げてゆっくりと瞼を閉じれば、いつもの柔らかい感触が唇へと降り注がれる。
そして、瞼は開くことなくそのまま二人は永遠の眠りへと向かう。
だって目覚めることのないキスなのだから…。
最後のキスはいつもと変わらない甘さと…鉄の味が少しした。
[END]
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