満月

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「…逢いたい」 一言そう呟いた。 時計を見れば23時を過ぎている。 夜中にすごく逢いたくなってしまう時がある、たまにだけど。 けど無理な話。 どうワガママ言っても会うことは出来ない。 私と彼は只今遠距離恋愛中…。 「まぁ、お互いが決めた道だから仕方ないか」 いつもの独り言を呟いて、そんな時は決まって電話をする。 Trrr…ピッ 『もしもし?』 懐かしい声が耳元で聞こえた。 この間電話したばっかなのに…もう懐かしくなっちゃってる。 「もしもし」 『どうしたの?』 少し驚いた彼の声が返ってきた。 なかなか私から電話する事はないからだろう。 「ん、暇だったから」 逢いたいなんて無理な事言えないから理由は適当に誤魔化す。 『そっか』 安堵したような声と共に後ろから騒ぐ違う声が聞こえた。 『なんだよ~彼女かぁ?』 『ラブラブでいいよなぁ』 「もしかして…今友達といる?」 なんて都合が悪いのだろう。 この間も電話したら友達と買い物中だったし…私運悪いなぁ。 『俺んちに皆押し掛けてきてゲーム大会開いてる…アハハ』 苦笑気味に言う彼に私もただ苦笑するしか出来ない。
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